Classici giapponesi con furigana
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Leggi 一本の花 (いっぽんのはな) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.709 caratteri · 55 schermate
朝子は、
「でも、諸戸さん、一種の性格だな」
と云った。
諸戸は、女房子供を国許に置き、一人東京で家を持っていた。まるで一人暮しなのに、家の小綺麗なことは評判であった。現在彼等で経営主任のようなことをしている、そして将来彼のものになるだろう或る女学校長とは特別な関係で、半ば公然の秘密であったが、諸戸は近来、働き会の方の河合という女といきさつがあった、もう一人そう云う人が働き会の中にある。そんな状態であった。
のほほんで、その河合と連れ立って帰るようなこともするのに、時々川島の場合のようにぶざまな痙攣的臆病を現すのであった。
「気のいいところもある人なんだから、あなた、ただ叱られていずに、ちゃんと自分の立場を明かにして置くといいんですよ」
朝子は川島に云った。
「こちらがしゃんとして出れば、じき折れる人なんだから」
「憤ると、でも怖いですよ」
川島は、いかにも学生らしく、眼を大きくした。
「とてもでかい声で『君!』ってやられると、参っちゃうな。云うことなんか忘れちゃう」
「だから、あなたがそれよりもっとでかい声で『何でありますか!』って云えばいいのよ」
多分、相原の口添えで、川島を罷めさせることは中止になったらしいと云うことだった。