Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いっぽんのはな

一本の花

宮本 百合子

Leggi 一本の花 (いっぽんのはな) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.709 caratteri · 55 schermate

Aozora Bunko

相原は、諸戸と同郷で、ころがり込んでいるうち、府下のセットルメント・ワークを任され、今では一方の主になっている男であった。伊田と川島は異口同音に、

「――相原氏の方があれでましでしょう」

と云った。

「男らしい点だけでもましじゃないですか」

「今度だって、諸戸氏、直き廊下であったら、やあ、なんて先から声をかけるんだよ。とてもお天気やだね。何が何だか分りゃしない」

「相原さん、諸戸さんにゃ精神的欠陥があるんだって云ってました」

朝子は、段々いやな心持になって、

「もうやめ! やめ! こんな話」

と云った。

「第一相原さんが諸戸さんについて、そんな風にあなたがたに云えた義理ではない筈ですよ。葭町の芸者とごたごたがあった、その借金の始末だって諸戸さんにして貰ってるそうだし……第一、今の地位を作ってくれたのが諸戸さんじゃありませんか」

「――そうなんですか」

「こないだ、将来、万事は自分が切り盛りするらしい口吻でしたよ、でも……」

「若し、相原氏が、反諸戸運動を画策してるんだったら、私は見下げた男だと思う」

朝子は、亢奮を感じた顔付で云った。

「諸戸さんにだって、卑怯なところもけちなところもあるが、一旦自分の拾った者はすて切れないというところがあります。