Classici giapponesi con furigana
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なのかななよ
七日七夜
山本 周五郎
Leggi 七日七夜 (なのかななよ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.818 caratteri · 36 schermate
彼は逆上のあまり膳をはね返した。
二十六年の大半を費やして練りあげた自制力が、そのとたんに切れた。まるで糸かなんぞが切れるように、ぷつんとみごとに切れたのである。昌平はその部屋をとびだし、住居へ戻って、大至急で着替えをし、刀を差し、再たび外へ出ると、中庭を横切って、母屋の縁側からあによめの居間へ踏み込んだ。
あによめは古足袋を繕ろっていた。
「持参金を此処へ出せ」
昌平はこう云って、刀を抜いた。あによめはあっけにとられ、平べったい狐のような顔をぽかんとさせ、だらしなく口をあけてこちらを見た。昌平はその鼻先へ刀をつき出しながら云った。
「人をなんだと思うんだ、金を出せ」
義弟が本気だということ、眼が血ばしって、刀の尖がこまかく震えていることに気づくと、あによめは突如まっ蒼になって、「イ」というような声をあげた。
「声をたてるな、じたばたすると斬ってしまうぞ」
「しょ、しょ、しょ」
「金を出すんだ、有るったけ、静かにしろ、早く、ものを云うな」
ぐいと刀をつきつけた。あによめは操り仕掛の木偶のように、ひょいと跳び上がった。昂奮はしているが、覚悟も相当以上きまっていた。