Classici giapponesi con furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Leggi 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.637 caratteri · 224 schermate
幽霊の冷たい手で一度ぐらい顔を撫でられても驚くのではありません。わたくしは息をつめて、その人の来るのを今か今かと待設けていました。
振返ってみますと、奥様の御居間の方には行燈の灯がすこし黄く光っていました。その行燈の下で奥様はなにか草雙紙でも御覧になっている筈ですが、どんなお心持でその草雙紙を読んでいらっしゃるか、わたくしにも大抵思いやりが出来ます。それにつけても、照之助が早く来てくれゝば可いと、わたくしも顔を長くして耳を引立てゝいますと、どこやらで犬の吠える声が時々にきこえますが、人の跫音らしいものは聞えません。勿論、日が暮れてからは滅多に往来のある所ではございませんから。
そのうちに、低い跫音――ほんとうに遠い世界の響きを聞くような、低い草履の音が微かに聞えました。わたくしははっと思うと、からだが急に赫と熱ってまいりました。些とも油断しないで耳を立てゝいますと、案の通りその跫音は木戸の外へひた/\と寄って来ましたので、さっきから待兼ねていたわたくしは、すぐに木戸をあけて暗いなかを透して視ますと、そこには人が立っているようでございました。
「照之助さんでございますか。