Classici giapponesi con furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Leggi 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.637 caratteri · 224 schermate
綾瀬の方まで上るのは少し足場が遠いので、このごろは専ら近所の川筋をあさることにしていました。そこで、五月のなかば、何でも十七八日ごろのことだそうです。その日は法恩寺橋から押上の方へ切れた堀割の川筋へ行って、朝から竿をおろしていると、鯉はめったに当らないが、鰻や鯰が面白いように釣れる。内職とは云うものゝ、もと/\自分の好きから始めた仕事ですから、阿部さんは我を忘れて釣っているうちに、雨のふる日は早く暮れて、濁った水のうえはだん/\に薄暗くなって来ました。
今とちがって、その辺は一帯の田や畑で、まばらに人家がみえるだけですから、昼でも随分さびしいところです。まして此頃は雨がふり続くので、日が暮れかゝったら滅多に人通りはありません。阿部さんは絵にかいてある釣師の通りに、大きい川柳をうしろにして、若い芦のしげった中に腰をおろして、糸のさきの見えなくなるまで釣っていましたが、やがて気がつくと、あたりはもう暮れ切っている。まだ残り惜しいがもうこゝらで切上げようかと、水に入れてあるびくを引きあげると、ずっしりと重い。
きょうは案外の獲物があったなと思う途端に、どこかで微かな哀れな声がきこえました。