Classici giapponesi con furigana
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Leggi 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.637 caratteri · 224 schermate
門のなかには正面の玄関口へ通うだけの路を取って、一方はそこで相撲でも取るか、剣術の稽古でもしようかと云うような空地、一方は畑になっていて、そこで汁の実の野菜でも作ろうというわけです。阿部さんはまだ独身で、弟の新五郎は二三年まえから同じ組内の正木という家へ養子にやって、当時はお幾という下女と主従二人暮しでした。
お幾という女は今年二十九で、阿部さんの両親が生きているときから奉公していたのですが、嫁入先があるというので、一旦ひまを取って国へ帰ったかと思うと、半年ばかりで又出て来て、もとの通りに使って貰うことになって、今の阿部さんの代まで長年しているのでした。容貌はまず一通りですが、幾年たっても江戸の水にしみない山出しで、その代りにはよく働く。女のいない世帯のことを一手に引受けて、そのあいだには畑も作る。もと/\小身のうえに、独身で年のわかい阿部さんは、友だちの附合や何かで些とは無駄な金もつかうので、内職の鯉や鰻だけではなか/\内証が苦しい。したがって、下女に払う一年一両の給金すらも兎角とゞこおり勝になるのですが、お幾は些とも厭な顔をしないで、まえにも云う通り、見得にも振りにも構わずに、世帯のことから畑の仕事まで精出して働くのですから、まったく徳用向きの奉公人でした。