Classici giapponesi con furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Leggi 上海 (しゃんはい) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.628 caratteri · 292 schermate
」
甲谷は山口の言葉を聞き流しながら、這入って来るときから探しつづけている宮子の姿をまた捜した。だが、宮子の姿はいつまでたっても見えなかった。
「しかし、僕の細君にして、それからまだ君が面目をほどこそうというんじゃ、それや、あんまり面白すぎるじゃないか。」
「いいじゃないか、細君なんかにしなけれや。倦きればまたそのときはそのときさ。まア、今はトウェンティ見当の月給で結構だよ。」
山口は肱をつきながら、甲谷のうろうろしつづける視線の方を自分も追った。外人たちがぼつりぼつりとホールの中へ這入って来た。
「ときに話は違うが、古屋の奴はどうしている。」と甲谷は訊ねた。
「ああ、古屋か、あの男は芸者の細君を月賦で買っては変えてるよ。」
「まだここらにいるのかね。」
「うむ、いる。前の細君だってまだ全額払込にはなっていないんだのに、また次のが、これが月賦だ。」
「御橋はどうした。」
「御橋も達者だ。しかし、先生、どうもあんまり妾を大切にするのでつき合い難いよ。あ奴も参木のような馬鹿者だね。」
しかし、甲谷は山口の話を聞こうともせず、うつろな眼で宮子はどうした、宮子はどうした、と絶えず思いながらまた訊ねつづけていくのであった。