Classici giapponesi con furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Leggi 上海 (しゃんはい) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.628 caratteri · 292 schermate
七
それらの花や野菜は、建物の影を切り抜けるたびごとに、朝日を受けてさらさらと爽やかに光っていった。参木は思った。この葬式のような花の流れは、これは競子の良人の死んだ知らせではなかろうかと。すると、彼は、自分の不幸は他人の幸福を恨むが故だと気がついた。もし自分が競子の良人のように幸福であったなら、誰か自分のような不幸なものから、同様に自分の死ぬことを願われていたに相違ない。彼は、自分の周囲の人の流れを見廻した。その滔々として流れる壮快な生活の河を。どこに悲しみがあるのか。どこに幸福があるのか。墓場へ行っても、ただ悲しそうな言葉が瀟洒として並んでいるだけではないか。だが、次の瞬間、これは朝日に面丁を叩かれている自分の感傷にちがいないと思うと、思わずにやりとせずにはおれなくなった。
七
参木が銀行の階段を登って行くと、甲谷はそのまま村松汽船会社へ車を走らせた。汽船会社は甲谷の会社の支配会社で、壮大な大建物の連った商業中心地帯の真中にあった。甲谷は車の上で、昨夜参木と食い違って追い合ったその結果が、お杉にあられもない行為をしてしまったことについて考えた。
――いや、しかしだ。