Classici giapponesi con furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Leggi 上海 (しゃんはい) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.628 caratteri · 292 schermate
「もうこのさきは駄目だわ。ここらあたりで帰りましょうよ。」と宮子はいった。
宮子はひとりで甲谷から放れると、ちらりと一叢の芽を出した灌木を眺めながら、門の方へ歩いていった。
甲谷は宮子の後姿を見詰めていた。彼は彼女の足を牽きつけている者が、宮子を繞っている逞しい外人の足の群れだと睨んでいる。だが、どうして日本人は、このようにも軽蔑されねばならぬのであろう。――甲谷は公園の門の前まで、自分の短い足を歎きつつ歩いて来た。しかし、彼はその門から前へ、公園の中へ、どうして支那人だけが這入ることを赦されてはいないのか考えるのはうるさいのだ。
枝を截り払われた菩提樹の若葉の下で、宮子は瓦斯燈の光りに濡れながら甲谷の近づくのを待っていた。
「瓦斯燈のある所なら、あたし、誰とでも仲良く出来るのよ。」
勝ち誇った華奢な宮子の微笑が、長く続いた青葉のトンネルの下を潜っていく。坦々砥のように光った道。薔薇の垣根。腹を映して辷る自動車。イルミネーションの牙城へと迫るアルハベット。甲谷はここまで来ると、再び彼がそのようにも負かされ続けた外国人たちの礼譲を、支那人ではないということを示さんがためばかりにさえも、重じなければならぬのだった。