Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふしょうのあに

不肖の兄

豊島 与志雄

Leggi 不肖の兄 (ふしょうのあに) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.889 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

そういう風に僕はごまかして読んでいったが、実は、あれは柩造りの詩なんだ。次の疫病流行を夢想して、収入を空想するところまであるんだ。皮肉じゃないか。

僕も皮肉だった。心とうらはらな芝居をうっていた。心では、兄の家庭……と云うより寧ろ、兄の家庭で代表されるそうした家庭のことを考えていた。主人は朝から夕方まで勤めに出て、こつこつ機械的に働いてくる。細君は赤ん坊を守りしながら、家の中に閉じ籠ってる。そして粗末な夕食の膳、疲れきった無言の宵、それから薄ら寒い睡眠。それが文字通りに十年一日の如く連続する。一生の間。そして最後に、僅かな貯金と死。

勿論そんなことは、一口には云えない。そのつつましやかな生活のうちに、掘り下げてみれば、どんな幸福が隠れてるか分ったものではない。

だが、俺は……。いいかい、この「俺は」がここでは大切なんだ。前に云ったろう、第二の父や母を空想したり感じたりする僕は……俺は……なんだよ。

その俺は、兄のような家庭がまた一つ生れようとしてるのを、お前の微笑のうちに見て取った。浜地は兄と相通ずる性格なんだ。彼は毎日勤勉に学校へ出かけるだろう。