Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
志貴子をあわてさせるのは痛快だけど、手をかけて、木津さんというひとを、わざわざ志貴子のほうへ追いやってしまうようなものだと、妙な気がしないでもなかったけど、乗りかかった舟で、いまさらあとにひけやしないのよ。外露地や腰掛だと、顔の合わないうちに消えられるおそれがあるでしょう。ギリギリのところで茶席へ追いこんでやろうと思って、頭のなかで席入りの段取をこねまわしているうちに、面白くなって、笑いだしそうで困ったわ。跡見の茶会で、不時の客のほうが多いくらいだから、そういういたずらをするには、至極、都合がいいの。
五時に席入りの合図があって、ご先客から順に、一人ずつ座敷飾を拝見して帰ってくるの。あと二人ばかりでこちらの番になるというのに、なかなかあらわれない。感づいて体をかわしたとも思わないけど、席へ入ってしまうと、手筈がみなだめになってしまうんですから、お尻で円座をもじりながらイライラしていると、あと二人というところで、「えろ遅そなってしもて」なんてすました顔でやって来たのはいいんだけど、半礼装に銀狐なんて場ちがいじゃなくて、あたしと同じ鶸茶の吉野で、すらりとした着付なんだから、さすがのあたしも、あッといったわ……まァお聞きなさいよ。