Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
うち、志貴の妹の志津子ですのン。何年前でしたか知らん、いちど神戸でお目にかかってます」てなことを言って、お辞儀をしたもんです。
憎らしいでしょうとも。でも腹をたてるなら、もっと後にしたほうがよくってよ……木津さんのほうも、いっこうに驚かない。白扇を斜にかまえて、「志津子さんでしたか、何年前でしたか、いちどお目にかかりました。引揚船で上海からお帰りなったことは聞いていましたが、かけちがってお目にもかかれず」なんて、おなじようなことをいってとめどもなくお辞儀のしあいをしているんですから、阿呆らしいやらバカらしいやら、どっちもどっちだと思って、見ているあたしのほうが悲しくなっちゃったわ。
ところが、それからがたいへんなの。跡見がすんで、あとは数茶になったんですけど、二人だけできりもなく点前を所望しあって、纏綿たる情景を見せるもんですから、さすがの一白庵もまいってしまって、「今日はお粗末で」と皮肉をおっしゃったんだけど、てんで通じないの。庵主が手燭を持って、中くぐりまで送って来たのに、二人でなにかいって笑いながら、礼もせずに出て行く始末なんです。
まったく、なんのこった、よ。