Classici giapponesi con furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.344 caratteri · 96 schermate
召次の役目柄、男で葵ノ壺へ入れるのはこの男だけだったが、公子はさしあたって善世を手なずけるところからはじめた。あばれだせばむやみに狂暴になる泰文が相手では、どのみち女だけの腕で仕終わせるのぞみはなかったからでもある。
善世は眼の色を沈ませていつもむっつりと黙りこんでいて、なにを考えているのかいっこうに気心が知れず、うちつけにそういう大事を洩らすのはいかがかと思われたが、ほかに便宜とてもないのであるから、ある日、ままよと切りだしてみると、意外なことに、異議なくすぐ同腹してくれた。
うちあけ話を聞くと、犬養ノ善世はもとは鬼冠者といい、伊吹の山にいた群盗の一味で、首の傷は五年ほど前、山曲の暗闇で泰文とやりあい、腰刀をうちこまれたものだということだった。こうして沓石同然の下司の役に甘んじているのは、いつかはうらみをはらしてやろうという覚悟によることである。あなたさまがたにたいする大蔵卿の仕打ちは、かねがね私めも腹にすえかねていたのだから、そういう存念があられるのなら、どのようにもお手助けすると、キッパリとした返事であった。
善世は、近々、泰文が八坂の別第へ行くはずだから、仲間を集めてその途中で事をしたらといったが、公子は考えてべつな意見を述べた。