Classici giapponesi con furigana
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らんせい
乱世
菊池 寛
Leggi 乱世 (らんせい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3477 caratteri · 7 schermate
東征の軍にとっては、第一の目標であった。その上、元治元年の四月に、藩主越中守が京都所司代に任ぜられて以来、薩長二藩とは、互いに恨みを結び合っている。薩長の浪士たちを迫害している。ことに、長州とは蛤門の変以来、恨みがさらに深い。彼らは、桑名が朝敵になった今、錦旗を擁して、どんなひどい仕返しをするかもわからない。
藩中が、鼎のわくように沸騰するのも無理もなかった。藩主も留守であって、一藩の人心を統一する中心がない。その上、多くの家庭では、思慮分別のある屈強の人たちは、藩主に従うて上京している。紀州路へ落ちたという噂だけで、今はどこを漂浪っているかわからない。留守を守っている人々は、老人でなければ女子供である。そうした家庭では、狼狽してなすところを知らないのも当然である。
市左衛門が帰って来たその夜、城中の大広間で、一藩の態度を決するための大評定が開かれた。
血気の若武者は、桑名城を死守して、官軍と血戦することを主張した。が、それが無謀な、不可能な、ただ快を一時に遣る方法であることは、誰にもわかっていた。隣藩の亀山も、津の藤堂も勤王である。官軍を前にしては、背後にしなければならぬ尾州藩は、藩主同士こそ兄弟であるが、前年来朝廷に忠誠を表している。