Classici giapponesi con furigana
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ちぶさ
乳房
宮本 百合子
Leggi 乳房 (ちぶさ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.932 caratteri · 56 schermate
いつの間にか診療所へ出入しはじめ、組合の活動に人手が足りなくなって来たら、これもまたいつの間にか、書記局の手伝いのようになった。二十四五の、後姿を見ると肩の落ちたような感じの小柄な男であった。
ひろ子は、あんまり人嫌いしない性質であったが、この臼井がニュースなど持って来て、喋るでもなく、子供らと遊ぶでもなく、その辺を愚図愚図して自分たちの立居振舞を見ていられると、背中がむずついて来るような居心地わるさを感じた。いつになっても本能的に馴染むことの出来ないところがあって、ひろ子に一種の苦しい気分を起させるのであった。臼井の云うことにはちぐはぐなこともあった。
或る席で、ひろ子が臼井に対してもっている否定的な印象を述べた時も、大谷は例によって目を盛にしばたたき、口を尖らすようにして、あぐらをかいた膝の前でバットの空箱を細かく裂きながら注意ぶかく傾聴はしたが、決定的な意見は云わなかった。最後に頭を上げ、
「――調査する必要はあるね」
と云った。市電のことが起ってから、大谷は応援活動の方面での責任者となり、忙しさにまぎれて調査もおそらくそのままなのだろう。臼井のことを云うひろ子と大谷との心持の間には、それだけのたたまって来ているものがあるのであった。