Classici giapponesi con furigana
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よしんちょうしょ
予審調書
平林 初之輔
Leggi 予審調書 (よしんちょうしょ) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.371 caratteri · 23 schermate
おりていないのになかなか戸が開かない。やっと金剛力を出して開けると、そのとたんに、戸の内側でひどい物音がしてびっくりしたということです。中へはいって見ると、玄関の壁際にもたせかけてあった鉄の古寝台が、戸を開ける拍子に、倒れたための物音だったというのですね。薄暗い軒燈の光ですかして見ると、なんだかその下に黒いものが圧しつぶされているようなので、寝台をもち上げて見ると、その下に、あの女の死体が横たわっていたというのです。あの太い鉄の框で頭から胸部を滅茶滅茶に打たれて、きゃっともすんとも言わずに即死してしまったらしいのです。これは大変なことをしたと思ったが、それでもまさか即死したなどとは思わないものですから、急いで抱き起そうとすると、身体はもう氷のように冷たくかたくなって、まったく事切れていたということです。そこで御子息は、とりのぼせてしまって、前後のわきまえもなく、あわてて外へ飛び出したのだそうですが、過失とは言いながら、一人の人間を殺した以上は無事ではすむまい。それに、他人がきいて果して過失と信じてくれるかどうかもわからぬ。これは何も知らぬ顔をしているに限ると考えて、死体はそのままにしておいて、音のしないようにそっと戸をしめ、何食わぬ顔をして家へ帰って寝たというのです。