Classici giapponesi con furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Leggi 予言 (よげん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.000 caratteri · 27 schermate
その途端、左の鎖骨の下あたりにえらい衝撃を受け、眼の前が、芝居のどんでんがえしのように、日本を発つ前の晩の披露式のホールの景色になった。みな椅子にかけて、ステージで欧州種の娘がいいようすでハープを奏いている。眼を落す前に、自分の過去を一瞬のうちに見尽すというが、すると、おれはやはり死ぬんだなと、ぼんやりそんなことを考えているうちに、大地がぐらりとひっくりかえった。
余興のハープがはじまるころ、安部がブラリとやってきて、正親町と松久の間に掛けたが、しばらくすると、ポケットからハンカチをだして、しきりに汗を拭く。暖房はしてあるが、暑いというほどではない。松久が、
「おいどうした」
と低い声でたずねたが、安部は返事もしない。感興をもよおしているふうで、熱心にハープを聞いていたが、終りに近いころ、ヒップから拳銃を出して、しげしげと眺めはじめた。これはへんだと、正親町と松久が眼を見合せた瞬間、銃口を胸に向けたまま、いきなり曳金をひいてしまった。松久が、
「馬鹿なことをするな」
といって支えようとするはずみに、安部は椅子といっしょにひっくりかえって、胸からたくさん血を出した。