Classici giapponesi con furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Leggi 二つの庭 (ふたつのにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.492 caratteri · 389 schermate
「あ、もしもし」
思いがけなく和一郎が出た。
「まあ、しばらく――」
「ああ、姉さん、どう?」
「お母様は?」
「前崎へ行っている」
小田原の手前に、佐々の家は小ぢんまりした別荘をもっていた。別荘らしい家はちっともないその海岸の漁村一帯は、大変体によくて長寿の者が多いということだった。泰造は、祖母に「西洋にあるとおりの家に住まわしてあげる」と、洋風のその家を建てはじめた。八十二歳になった祖母は、その家の出来上らないうちに亡くなったのであった。
「いつ、いらしたの?」
伸子が動坂へ行って、越智と結婚しようかという話をきいたのは一昨日のことであった。
「けさ……」
「けさ?――きょう何曜日?……木曜でしょう?」
多計代が、急に前崎の家へ行ってしまったことは、伸子を何か不安にした。
「だれか一緒に行ったの?」
「ああ、みんな行った――僕と保が留守番だから、いらっしゃいよ」
「――つや子も?」
「ええ。お父様が神経痛で事務所を休むことになったもんだから、急に大さわぎしてドタバタ行っちゃった」
「そうなの」
それならよかった。多計代は一人でまめに汽車の往復は出来ない人だし。――
「いつもなにか文句をいうお母様が、案外簡単に出かけたんで、おとうさま、おどろいてたよ」