Classici giapponesi con furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Leggi 二つの庭 (ふたつのにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.492 caratteri · 389 schermate
そう云って、その頃佃のうちに女中としていたみつが、佃が病気で鎌倉へ行った先までついて行って世話していたことを話した。そのときの伸子には、せめて、みつがそうしてくれてよかったという感情しかなかった。それから、伸子がまた決心をぐらつかせてしばらく佃と暮すようになったとき、みつは、どうもからだがわるいからといって、青塗りのバルコニーのあるあの氷屋の二階がりをして、そこへ移った。いくらうちで養生するようにといっても、みつはそれをことわって、氷問屋の二階へ行った。
二三日たってある午後、伸子はそこへみつを見舞に行った。みつは、友達と二人でかりている、意外にひろい、和洋折衷の室の真中に床をとってねていた。伸子が、ドアをあけて、三尺ばかりの下駄ぬぎに立ったとき、みつは、
「だあれ」
と割合元気な声でききながら、枕の上から頭をもたげた。そして自分のかけぶとんのふくらがりごしに、立っている伸子を認めると、
「アラ……」
伸子が、自分のほかになにかいるのかとおどろいてうしろを見かえったほど、びっくりした声をあげて頭を枕の上におとした。
「入ってもいい?」
返事がないのでそのままそっと入って床のわきへゆくと、みつは、すっぽり頭からかけぶとんをかぶってしまった。