Classici giapponesi con furigana
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ふたつのみち
二つの途
豊島 与志雄
Leggi 二つの途 (ふたつのみち) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.102 caratteri · 104 schermate
細かい雨が降り続いていた。彼女は首をすくめた。それから煖炉の所へ戻って来た。火が消えかかっていた。彼女は薪と石炭とを投り込んだ。
「この室は寒かありませんか。」彼女は煖炉の側の椅子に腰を下しながら云った。
「いえ別に。……然し病室とは違いますよ。」
「そうですわね。私あの室に馴れているものですから、外に出ると急に寒いような気がするんですの。何だか自分まで病気になったような気がして……。でももう感染ってるのかも知れませんわ。」
「なに大丈夫でしょう。第一感染る感染らないはその時の偶然の機会で、用心するしないは何の役にも立ちません。」
「まるでお医者様のような口振りをなさるのね。」
「いや実際私はそう思ってるんです。……然し肺炎は感染り易い病気でしょうかしら。」
「さあどうですか。」と信子は気の無さそうな返事をしたが、独語のような調子で云った。「私ほんとに困ってしまいますの。」
「どうしてです?」
「この頃何だか岡部の様子が変ですもの。私どうしたらいいか分らなくなってしまいましたわ。先にはよく岡部は私に何でも隠さず云ってくれましたが、……今でもよく種々なことを云ってはくれますが、肝腎な所をうちあけてくれないような気がしますの。