Classici giapponesi con furigana
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ふたりいるとき
二人いるとき
宮本 百合子
Leggi 二人いるとき (ふたりいるとき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8672 caratteri · 18 schermate
私は私と桃子がいう、その気持の内容がはっきりせず、謂わばそんなに手際よく自分だけ複雑な生活の中で別者のように云っていられる心持が多喜子には納得ゆかないのであった。桃子のそういう態度は大変怜悧なようで、その実自分の心持を見守る手数をどこかで省いているか、投げているかのように感じられるのである。
音楽も抜群であるし、絵をかかせればやはり目をひくだけの才気を示し、人の心の動きを理解する力も平凡ではないのに、桃子にはとことんの処へ行くとすらっと流れてしまうものがあった。一本気なところのなさが、桃子のいろいろの才能をも、つまりはちゃんと実らせない原因のようであるし、多喜子はそのことをもやっぱり桃子の毎日の境遇ときりはなして見ることは出来ないと思うのであった。
頭脳の明敏な愛嬌にほんのぽっちり面倒臭さを露わに示したうわてな親密さで、桃子は、
「さ、あなたはどっちへ帰るの? きょうはあなたの護衛の騎士になってあげるわよ」
「ありがとう。でもきょうはいいわ、五時に日比谷で原に会うの」
「ハハア」桃子は抑揚をつけてそう云いながら大きく顎をひいて芝居がかりの合点をすると、手にもっていたベレーを振って、シラノ・ド・ベルジュラックが舞台でやるような挨拶をした。