Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate

Aozora Bunko

やめた、やめたそんなぐち。先生の前でいうこっちゃないわ。昔にかえって!」

ぽんと松江の肩をたたくと、松江はむきになり、しかし陽気さをくわえていった。

「だから昔話してんのに。なあ先生、わたし、あの弁当箱、戦争中は防空壕にまで入れて守ったんですよ。あの弁当箱だけは、娘にもやりたくないんです。わたしの宝でしたの。今日もお米入れて持ってきたんですよ、先生」

それを聞くと吉次が、あ、そうじゃ、といいながら、国民服の脇ポケットから小さな布袋をとりだし、

「はい、うら(私)の食いぶに」

と、マスノのほうへさしだした。

「ええじゃないかキッチン、おまえ、魚もってきてくれたもん」

どうやら今日の会はもちよりであるらしいと思いながら、大石先生はしきりに松江の話を聞こうとした。松江のいう弁当箱とはいったいなんだろうと思ったからだ。防空壕にまで入れた宝の弁当箱とは。

先生はあの百合の花の弁当箱のことをすっかり忘れていたのだった。

「マッちゃん、弁当箱って、なあに?」

小声できくと、松江はとんきょうな声を出し、

「あら、先生、忘れたんですか。そんならもってくる」

とんとん音立てて階段を走りおりていったと思うと、やがてまたとんとんかけあがってきた松江は、みんなの前に、からの弁当箱を、赤ん坊のするあるまいあるまいでしてみせ、