Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate

Aozora Bunko

おだやかな入り海はいかにも夏らしくぎらぎら光って、母のいる一本松の村は白い夏雲の下にかすんで見えた。あけっぴろげの窓から、海風が流れこんできて、もうあと二日で夏休みになるよろこびが、からだじゅうにしみこむような気がした。だが、少し悲しいのは、なんとしても気をゆるさぬような村の人たちのことだ。それを男先生にこぼすと、男先生は奥歯のない口を大きくあけて笑い、

「そりゃあ無理な注文じゃ。あんたが、なんぼ熱心に家庭訪問してもですな、洋服と自転車がじゃましとりますワ。ちっとばかりまぶしくて、気がおけるんです。そんな村ですからな」

女先生はびっくりしてしまった。顔を赤らめ、うつむいて考えこんだ。

――着物きて、歩いてかよえというのかしら。往復四里(十六キロ)の道を……。

夏休み中にもなんどかそれについて考えたが、決心のつかぬうちに二学期がきた。暦のうえでは九月といっても、永い休みのあとだけに暑さは暑さ以上にこたえ、女先生の小さなからだは少しやせて、顔色もよくなかった。その朝家を出かけるとき、先生のお母さんはいったのである。

「なんじゃかんじゃというても、三分の一は過ぎたでないか。