Classici giapponesi con furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Leggi 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 113.429 caratteri · 227 schermate
しんぼう、しんぼう。もうちょっとのしんぼう」
手つだって自転車を出してくれながら、なぐさめてくれた。しかし、先生でもお母さんの前では、ちょっとわがままをいってみたくなることは、ふつうの人間と同じである。
「あーあ、しんぼ、しんぼか」
腹でも立てているように、さあっと自転車をとばした。しばらくぶりに風をきって走るこころよさが身にしみるようだったが、今日からまた、自転車でかようことを思うと気が重くなった。休み中なんどか話がでて、岬で部屋でも借りようかといってもみたが、けっきょくは自転車をつづけることになったのである。自転車も、朝はよいけれど、焼けつくような、暑熱のてりかえす道を、背中に夕陽をうけてもどってくるときのつらさは、ときに呼吸もとまるかと思うこともある。岬の村は目の前なのに、日がな毎日馬鹿念をいれて、入り海をぐるりとまわってかようことを考えると、くやしくてならない。しかも自転車は岬の人たちの気にいらないというのだ。
あんちきしょ!
口に出してはいわないが、目の前に横たわる岬をにらまえると、思わず足に力がはいる。めずらしく波のざわめく入り江の海を右にへだてて、岬に逆行して走りながら、ああ、と思った。