Classici giapponesi con furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Leggi 二百十日 (にひゃくとおか) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.466 caratteri · 60 schermate
「何と何だって、たしかにあるんだよ。第一爪をはがす鑿と、鑿を敲く槌と、それから爪を削る小刀と、爪を刳る妙なものと、それから……」
「それから何があるかい」
「それから変なものが、まだいろいろあるんだよ。第一馬のおとなしいには驚ろいた。あんなに、削られても、刳られても平気でいるぜ」
「爪だもの。人間だって、平気で爪を剪るじゃないか」
「人間はそうだが馬だぜ、君」
「馬だって、人間だって爪に変りはないやね。君はよっぽど呑気だよ」
「呑気だから見ていたのさ。しかし薄暗い所で赤い鉄を打つと奇麗だね。ぴちぴち火花が出る」
「出るさ、東京の真中でも出る」
「東京の真中でも出る事は出るが、感じが違うよ。こう云う山の中の鍛冶屋は第一、音から違う。そら、ここまで聞えるぜ」
初秋の日脚は、うそ寒く、遠い国の方へ傾いて、淋しい山里の空気が、心細い夕暮れを促がすなかに、かあんかあんと鉄を打つ音がする。
「聞えるだろう」と圭さんが云う。
「うん」と碌さんは答えたぎり黙然としている。隣りの部屋で何だか二人しきりに話をしている。
「そこで、その、相手が竹刀を落したんだあね。すると、その、ちょいと、小手を取ったんだあね」