Classici giapponesi con furigana
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ひとのくび
人の首
高村 光太郎
Leggi 人の首 (ひとのくび) di 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2835 caratteri · 6 schermate
顎の美しさは最も彫刻的の微妙さを持つ。
運動の無い前額から顱頂にかけての頭蓋部が、最も動的な其人の内心の陰影を顕わすのは不思議である。額の皺が人間の閲歴を如実に語るものである事は言う迄もなかろう。
眼や眉や鼻や口や耳などという個々のものに就いては今語り尽せない。私はあまり睫毛の美しい少女を電車の中で見て、思わず知らず其顔をのぞき込んで気の毒な思いをさせた事がある。その睫毛は名状すべからざる美を持っていて到底再現する事は出来ない。名香のかおりに何処か麝香をほのかにまじえた様な睫毛であった。あんな少女が生きているとは不思議な位だ。
人間の首には先天の美と、後天の美とがある。此の二つが分ち難くまじり合って大きな調和を成している。先天の美は言う迄もないが後天の美に私は強い牽引を感ずる。閲歴が造る人間の美である。私が老人を特別に好むのは此の故もある。写真は人間の先天の美のみを写して後天の美を能く捉えない。だから写真では赤坊だけがよく写る。後天の美を本当に認め得るのは活きた眼だけである。機械では不可能である。写真に写ると実際よりも美しくなる人は此の先天の美に恵まれている人であり、写真では悪いが本人に会うと美しいという人は此の後天の美、閲歴、生活、性格陶冶等から来る美を多分に持っている人の事である。