Classici giapponesi con furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Leggi 人外魔境 (じんがいまきょう) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 101.713 caratteri · 205 schermate
私は、あの大氷嶺のなかの天母人の文化、魔境の、天険のなかにも桃源境があると思うと、思わず、われ行かんユートピアへと叫んだのです。
いま、国をうしなったチェコ人の願いは、どこか地図にない国があれば、そこへ往きたい。そして、亡国よという声を聴かずにいたいというのです。折竹さん、これは国運日々にすすむ東亜の盟主、日本のあなたはとうてい分りますまい。いや、あなたは亡国者の無気力の夢と嗤うでしょう」
見ると、ケルミッシュの双頬が二筋三筋濡れている。折竹は、しみじみ神国にいるじぶんの幸福を感じたが、案外、おなじチェコ人でもアメリカ育ちの、ダネックは感じないようにみえた。ケルミッシュは、涙に気づいたのか、慌てたように亢奮をおさめた。
「それから、『メンヤンの草漉紙』のほうは孔雀王経です。やはりあれは、天母人の大文化を唱ったものです。それには、一、二か所ちがったところがありまして、あに竜の森へゆくを得んや――というところがある。その竜という字が棘蛇とかわっているのです」
「棘蛇」とダネックがちょっと目を剥いた。
「棘蛇、あの第三紀ごろにいた游蛇類ですか」
「そうです、少くともそう思われますね」