Classici giapponesi con furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Leggi 人情武士道 (しぐれがさ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.700 caratteri · 51 schermate
正倫は、微笑しながら云った。宗七は懸命に面をあげて、
「お殿様の眼にはそう見えも致しましょうが、それはお道楽だけの御鑑識、あの品はまだ石塊も同然の駄作でございます。彫りました当人の私が申上げますので、お手許へ差置くべき値打はございません。どうぞお下渡し下さいますよう」
「道楽だけの鑑識か」
正倫は苦笑しながら、
「はっきり申す奴だな、よし……権太夫、昨日の蛙を持って参れ」
「はっ」
「宗七。それ程申すなら、あの品は返して遣わそう、然し約束がある」
権太夫の持って来た文庫の中から、木彫の蛙を取出して前へ置きながら、正倫は改めて宗七を見やった。
「この品は返してやるが、そのまえに、其方が是なら善しと思う物を彫上げて参れ、そうしたら是を下渡してやるが、どうだ」
「はい、然しそれが、いつ出来ますことやら」
「いつでもよい、二年でも三年でも待つ、そのあいだ、是は文庫に納めたまま決して他人には見せぬと約束して遣わそう」
「恐入りまする」
宗七は、初めて安堵したように微笑んだ。
「それでは私がお眼通り仕りまするまで、どうぞ何誰にもお見せ下さいませぬよう」
「よしよし、必ず見せずに置くぞ」