Classici giapponesi con furigana
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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Leggi 人間豹 (にんげんひょう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.989 caratteri · 311 schermate
人間豹は毛皮をムクムクもてあそびながら、文代さんに近づいてきた。彼は「まだ喰いつきやしないよ」と言った。では、いつかはこの熊が生き返って彼女を喰い殺すというのだろうか。まさかそんなばかばかしいことが起こるはずはない。そういう意味ではなかったのだけれど、あとになって考えると、このなにげない言葉の中に、実に身の毛もよだつ恐ろしい暗示が含まれていたのである。
「これは熊の衣裳だよ。人間がこの中へはいって、四つん這いになって、熊のまねをするんだ。おれがはいるんじゃない。むろん君がこれを着るんだよ。そして、君はたった今から、熊になるんだ。恐ろしい猛獣になりきってしまうんだ。死んでしまうまで、もう二度と人間世界には戻れないのだ」
人間豹の語調はだんだんやさしく変って行った。そして、それと反比例して言葉の内容は恐ろしくなりまさった。
「さあ、いい子だから、おとなしく着更えをするんだよ。先ずそのバッチイのをぬいでと……」
恩田の無気味な指先が、文代さんのからだから裂け破れた半纏などを、一枚一枚とはがしていった。最初のうちは抵抗をこころみたけれど、相手の目的が一変してしまったのだから、さいぜんのように死力を尽す必要も感じなかったし、それに第一からだじゅうの力という力が絞り尽されて、これ以上の抵抗はまったく不可能であった。