Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あだうちさんたい

仇討三態

菊池 寛

Leggi 仇討三態 (あだうちさんたい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.136 caratteri · 33 schermate

Aozora Bunko

「ははははは、何を申されるのじゃ。この期に及んで武儀の頓着は一切無用じゃ。愚僧は、もはや分別を究め申した。御身を敵と思う妄念は一切断ち申す。もし、貴僧にお志あらば、亡父の後生菩提をお弔い下されい!」

彼はそう潔くいい放つと、両手にも余る薪束を軽々と担ぎ上げながら、御堂の倉庫を指して一散に駆け下った。

薪作務があったために、その夜は「夜座各景」の触れがあった。それは夜の禅座の休止を意味していた。が、惟念には、その夜は大事の一夜であったから、自分一人単前に打座した。

隣単の雲水たちが、相集って法螺を吹いているのも耳にかけず、座禅三昧に心を浸した。いかに出家の身であるとはいえ、眼前にある父の敵を許したということが、執拗な悔恨となって心頭を去来したが、それがいつの間にか薄れてしまうと、神々しい薄明が心のうちをほのかに照らすような心持がした。初更の来たことを報ずる更点の太鼓と共に、いつもは大衆と共に朗読する「普勧座禅儀」を口のうちで説えた。高祖開闢の霊場で、高祖の心血の御作たる「座禅儀」を拝誦するありがたさが彼の心身に、ひしひしと浸み渡った。

彼が開枕板の鳴るのを合図に、座禅の膝を崩すまで、彼の心は初夏の夜の空のように澄み渡って、一片の妄念さえ痕を止めていなかった。