Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いまどしんじゅう

今戸心中

広津 柳浪

Leggi 今戸心中 (いまどしんじゅう) di 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.688 caratteri · 74 schermate

Aozora Bunko

平田は額に手を当てて横を向いた。西宮と小万は顔を見合わせて覚えず溜息を吐いた。

「ああ、つまらないつまらない」と、吉里は手酌で湯呑みへだくだくと注ぐ。

「お止しと言うのに」と、小万が銚子を奪ろうとすると、「酒でも飲まないじゃア……」と、吉里がまた注ぎにかかるのを、小万は無理に取り上げた。吉里は一息に飲み乾し、顔をしかめて横を向き、苦しそうに息を吐いた。

「剛情だよ、また後で苦しがろうと思ッて」

「お酒で苦しいくらいなことは……。察して下さるのは兄さんばかりだよ」と、吉里は西宮を見て、「堪忍して下さいよ。もう愚痴は溢さない約束でしたッけね。ほほほほほほ」と、淋しく笑ッた。

「花魁、花魁」と、お熊がまたしても室外から声をかける。

「今じきに行くよ」と、吉里も今度は優しく言う。お熊は何も言わないであちらへ行ッた。

「ちょいと行ッて来ちゃアどうだね、も一杯威勢を附けて」

西宮が与した猪口に満々と受けて、吉里は考えている。

「本統にそうおしよ。あんまり放擲ッといちゃアよくないよ。善さんも気の毒な人さ。こんなに冷遇ても厭な顔もしないで、毎晩のように来ておいでなんだから、怒らせないくらいにゃしておやりよ」