Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いまどしんじゅう

今戸心中

広津 柳浪

Leggi 今戸心中 (いまどしんじゅう) di 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.688 caratteri · 74 schermate

Aozora Bunko

隙を見損なッて、覚えず今吉里へ顔を見合わせると、涙一杯の眼で怨めしそうに自分を見つめていたので、はッと思いながら外し損ない、同じくじッと見つめた。吉里の眼にはらはらと涙が零れると、平田はたまらなくなッてうつむいて、深く息を吐いて涙ぐんだ。

西宮は二人の様子に口の出し端を失い、酒はなし所在はなし、またもや次の間へ声をかけた。

「おい、まだかい」

「ああやッと出来ましたよ」と、小万は燗瓶を鉄瓶から出しながら、「そんなわけなんだからね。いいかね、お熊どん。私がまた後でよく言うからね、今晩はわがままを言わせておいておくれ」

「どうかねえ。お頼み申しますよ」と、お熊は唐紙越しに、「花魁、こなたの御都合でねえ、よござんすか」

「うるさいよッ」と、吉里も唐紙越しに睨んで、「人のことばッかし言わないで、自分も気をつけるがいいじゃアないか。ちッたアそこで燗番でもするがいいんさ。小万さんの働いておいでなのが見えないのか。自分がいやなら、誰かよこしとくがいいじゃアないか」

「はい、はい。どうもお気の毒さま」と、お熊は室外へ出た。

「本統に誰かよこしておくんなさいよ。お梅どんがどッかいるだろうから、来るように言ッておくんなさいよ」