Classici giapponesi con furigana
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こんにちのどくしゃのせいかく
今日の読者の性格
宮本 百合子
Leggi 今日の読者の性格 (こんにちのどくしゃのせいかく) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6197 caratteri · 13 schermate
数日後には専攻しているフランス文学研究のために渡仏しようとしている或る若い女のひとにあったら、その友達に大変私の書くものを好いて皆よんでいるというひとがあるという話になった。そう云われて嬉しくないものはないと思う。すると、それにつづけて「そのひとは、偶然あなたと同じお名前なんですの。だもんですから、よくひとに、こないだの、実は私がちょいといたずらしてみたのよ、なんて云ってよろこんでおりますわ。ホホホホホ」と何のこだわるところなく紅の色艶やかな唇をうちひらいて微笑まれて私は言葉をつぐことが出来なかった。
現代の教養を体にいっぱいにしたその若いひとは、勿論自分が一種のコンプリメントとして云った言葉でそんなに強烈なショックを感じる作家が今日に在ろうとは思いもしていなかったのである。おはぎでも拵えるように、一寸いたずらしてと表現する娘さんへよりも、私としてはデカルトにさかのぼって近代フランス文学を研究すると云っているその語りての、今日現実のものとしている文学への感覚からショックをうけた。
今日の日本では所謂知的な読者でさえ、作品と作家の生きかたというものの間にある必然について全く感覚を喪っている。