Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はくしゃくのかんざし

伯爵の釵

泉 鏡花

Leggi 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.403 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

――その軒の土間に、背後むきに蹲んだ僧形のものがある。坊主であろう。墨染の麻の法衣の破れ破れな形で、鬱金ももう鼠に汚れた布に――すぐ、分ったが、――三味線を一挺、盲目の琵琶背負に背負っている、漂泊う門附の類であろう。

何をか働く。人目を避けて、蹲って、虱を捻るか、瘡を掻くか、弁当を使うとも、掃溜を探した干魚の骨を舐るに過ぎまい。乞食のように薄汚い。

紫玉は敗竄した芸人と、荒涼たる見世ものに対して、深い歎息を漏らした。且つあわれみ、且つ可忌しがったのである。

灰吹に薄い唾した。

この世盛りの、思い上れる、美しき女優は、樹の緑蝉の声も滴るがごとき影に、框も自然から浮いて高い処に、色も濡々と水際立つ、紫陽花の花の姿を撓わに置きつつ、翡翠、紅玉、真珠など、指環を三つ四つ嵌めた白い指をツト挙げて、鬢の後毛を掻いたついでに、白金の高彫の、翼に金剛石を鏤め、目には血膸玉、嘴と爪に緑宝玉の象嵌した、白く輝く鸚鵡の釵――何某の伯爵が心を籠めた贈ものとて、人は知って、(伯爵)と称うるその釵を抜いて、脚を返して、喫掛けた火皿の脂を浚った。……伊達の煙管は、煙を吸うより、手すさみの科が多い慣習である。