Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はくしゃくのかんざし

伯爵の釵

泉 鏡花

Leggi 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.403 caratteri · 39 schermate

Aozora Bunko

「あら、お嬢様。」

「お師匠さーん。」

一人がもう、空気草履の、媚かしい褄捌きで駆けて来る。目鼻は玉江。……もう一人は玉野であった。

紫玉は故郷へ帰った気がした。

「不思議な処で、と言いたいわね。見ぶつかい。」

「ええ、観光団。」

「何を悪戯をしているの、お前さんたち。」

と連立って寄る、汀に居た玉野の手には、船首へ掛けつつ棹があった。

舷は藍、萌黄の翼で、頭にも尾にも紅を塗った、鷁首の船の屋形造。玩具のようだが四五人は乗れるであろう。

「お嬢様。おめしなさいませんか。」

聞けば、向う岸の、むら萩に庵の見える、船主の料理屋にはもう交渉済で、二人は慰みに、これから漕出そうとする処だった。……お前さんに漕げるかい、と覚束なさに念を押すと、浅くて棹が届くのだから仔細ない。ただ、一ケ所底の知れない深水の穴がある。竜の口と称えて、ここから下の滝の伏樋に通ずるよし言伝える、……危くはないけれど、そこだけは除けたが可かろう、と、……こんな事には気軽な玉江が、つい駆出して仕誼を言いに行ったのに、料理屋の女中が、わざわざ出て来て注意をした。

「あれ、あすこですわ。」と玉野が指す、大池を艮の方へ寄る処に、板を浮かせて、小さな御幣が立っていた。