Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくひんのけつみゃく

作品の血脈

宮本 百合子

Leggi 作品の血脈 (さくひんのけつみゃく) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2728 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

やがて、かの子さんの小説が出るようになった。精力的に、溢れるという形を示した作品が現れるようになった。作品の世界は、幻想的と云われ、或は逞しき奔放さと云われ、華麗と云うような文字でも形容され、デカダンスとも云われ、あらゆる作品の当然の運命として、賞讚と同時の疑問にもさらされた。文学の作品として、かの子さんの幻想ならぬ幻想が、その世界として客観的になり立ち得ていたかどうかということについては、ここで触れない。かの子さんの小説がどっさり現れるようになってから、かの子さんの顔を見ると、いつも私の心に起って来る妙な居心地わるさというか苦しいというか名状しがたい心持について、暫く考えて見たく思うのである。

一口に云えば、印刷になった彼女の小説を読むときは、それとして読むのであるが、特徴あるおかっぱのかの子さんの顔を見た刹那、どうしてもその作品がぱっと彼女のなかへ入ってしまわない。彼女と作品とが融合し溶け合わず、一つの肉体となってしまわないで、かの子さんのまわりに書かれた小説が立っている感じが苦しいのであった。

作者と作品の溶け合っているこの自然の力は微妙となって、例えば夏目漱石の写真を見たとき、人は、「吾輩は猫である」