Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate

Aozora Bunko

「あんなものを見たんで、すっかり気色がわるくなってしまったよ。」

老婆は、大仰に顔をしかめながら、

「――ええと、平六の家は、お前さんも知っているだろう。これをまっすぐに行って、立本寺の門を左へ切れると、藤判官の屋敷がある。あの一町ばかり先さ。ついでだから、屋敷のまわりでもまわって、今夜の下見をしておおきよ。」

「なにわたしも、始めからそのつもりで、こっちへ出て来たのさ。」

「そうかえ、それはお前さんにしては、気がきいたね。お前さんのにいさんの御面相じゃ、一つ間違うと、向こうにけどられそうで、下見に行っても、もらえないが、お前さんなら、大丈夫だよ。」

「かわいそうに、兄きもおばばの口にかかっちゃ、かなわないね。」

「なに、わたしなんぞはいちばん、あの人の事をよく言っているほうさ。おじいさんなんぞと来たら、お前さんにも話せないような事を、言っているわね。」

「それは、あの事があるからさ。」

「あったって、お前さんの悪口は、言わないじゃないか。」

「じゃおおかた、わたしは子供扱いにされているんだろう。」

二人は、こんな閑談をかわしながら、狭い往来をぶらぶら歩いて行った。