Classici giapponesi con furigana
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ちゅうとう
偸盗
Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate
さすがの夏の日も、斜めにつき出した、高い瓦にさえぎられて、ここまではさして来ない。後ろを見ると、うす暗い中に、一体の金剛力士が青蓮花を踏みながら、左手の杵を高くあげて、胸のあたりに燕の糞をつけたまま、寂然と境内の昼を守っている。――次郎は、ここへ来て、始めて落ち着いて、自分の心もちが考えられるような気になった。
日の光は、相変わらず目の前の往来を、照り白ませて、その中にとびかう燕の羽を、さながら黒繻子か何かのように、光らせている。大きな日傘をさして、白い水干を着た男が一人、青竹の文挾にはさんだ文を持って、暑そうにゆっくり通ったあとは、向こうに続いた築土の上へ、影を落とす犬もない。
次郎は、腰にさした扇をぬいて、その黒柿の骨を、一つずつ指で送ったり、もどしたりしながら、兄と自分との関係を、それからそれへ、思い出した。――
なんで自分は、こう苦しまなければ、ならないのであろう。たった一人の兄は、自分を敵のように思っている。顔を合わせるごとに、こちらから口をきいても、浮かない返事をして、話の腰を折ってしまう。それも、自分と沙金とが、今のような事になってみれば、無理のない事に相違ない。