Classici giapponesi con furigana
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ぼくのむかし
僕の昔
Leggi 僕の昔 (ぼくのむかし) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3276 caratteri · 7 schermate
正岡は僕よりももっと変人で、いつも気に入らぬやつとは一語も話さない。孤峭なおもしろい男だった。どうした拍子か僕が正岡の気にいったとみえて、打ちとけて交わるようになった。上級では川上眉山、石橋思案、尾崎紅葉などがいた。紅葉はあまり学校のほうはできのよくない男で、交際も自分とはしなかった。それからしばらくすると紅葉の小説が名高くなりだした。僕はそのころは小説を書こうなんどとは夢にも思っていなかったが、なあにおれだってあれくらいのものはすぐ書けるよという調子だった。
ちょうど大学の三年の時だったか、今の早稲田大学、昔の東京専門学校へ英語の教師に行って、ミルトンのアレオパジチカというむずかしい本を教えさされて、大変困ったことがあった。あの早稲田の学生であって、子規や僕らの俳友の藤野古白は姿見橋――太田道灌の山吹の里の近所の――あたりの素人屋にいた。僕の馬場下の家とは近いものだから、おりおりやってきて熱烈な議論をやった。あの男は君も知っているだろう。精神錯乱で自殺してしまったよ。『新俳句』に僕があの男を追懐して、
思ひ出すは古白と申す春の人
という句を作ったこともあったっけ。