Classici giapponesi con furigana
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にゅうばい
入梅
久坂 葉子
Leggi 入梅 (にゅうばい) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9934 caratteri · 20 schermate
注意というより、それは意地の悪い眼を光らせるという方があたってたかもしれない。でもその意地悪さの中には、おはるをおもってやる責任感もあったろう。おはるはまだ若い。これから嫁入りせにゃならない。おはるの一身上にうるさいことがおきたとき、私はやはり責任があるのだ。だが若い私が、「お嬢様、お嬢様」と云ってくれていた作衛に注意を与えたり説教したりする事は、ちょっと出来かねた。そしてそのままで春になったのだった。
ある夕方、私は近々個展をひらこうと思って、そのため方々へ頼み事などしに行き、七時頃、行雄をつれてぶらぶら家へ戻った。玄関をあけても誰も出て来ない。作衛は使いにやっているからいない筈だが、おはるは居るのにと思いながら私は他所行きの草履をしまいこんだ。
「じいや、おはる」
行雄が靴ぬぎで怒鳴った。と障子のあく音がし、同時にいない筈の作衛がおはるといっしょに出て来た。瞬間、私は何とも云えぬ不愉快な気持になった。あの夜、抱いた感じよりも一層その嫌悪感が増していた。はげしい憤りをも感じた。何故だろうか、作衛はお使いが早く済んで家に帰っていた。ただこれだけの事なのに。