Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
ましてお前を婿として大鳥井家へやることは出来ぬ」
「参る意りとてございません」
「そうであろうな。そうなくてはならぬ。……さてこう事が解って見れば痛くない腹を探られたくもない」
「ハイ、さようでございます」
「で、繁々行かぬがよい」
「気を付けることに致します」
「お前の武勇聡明にはまこと私も頭を下げる。これについては一言もない。ただ将来注意すべきは、女の色香これ一つだ。これを誡むる色にありと既に先賢も申されておる」
「その辺充分将来とも気を付けるでございましょう」
葉之助は手を支え、謹んで一礼したものである。
三
淡々しいように見えていてその実地獄の劫火のように身も心も焼き尽くすものは、初恋の人の心である。それを彼は抑えられた。
鏡葉之助はその時以来怏々として楽しまなかった。自然心が欝せざるを得ない。
欝した心を欝しさせたままいつまでも放抛って置く時は、おおかたの人は狂暴となる。
葉之助の心が日一日、荒々しいものに変わって行ったのは、止むを得ないことである。彼は時に幻覚を見た。また往々「変な声」を聞いた。
「永久安穏はあるまいぞよ!」その変な声はどこからともなくこう彼に呼び掛けた。