Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
……やはりこれは明かした方がいい……そうだ、今夜も葉之助は、根岸の殿の下屋敷附近を、警戒しているに違いない。行き逢って様子を見ることにしよう」
根岸の方へ足を向けた。
根岸は閑静な土地であった。夜など人一人通ろうともしない。
間もなく下屋敷の側まで来た。
葉之助の姿は見えなかった。
で、裏の方へ廻って行った。
すると、広い空地へ出た。空地の闇を貫いて、一筋白い長い線が、一文字に地面へ引かれていた。
それと知った時北山は、思わず「アッ」と声を上げた。「白粉! 白粉! 例の白粉だ!」
とたんに笛の音が聞こえて来た。
銀笛のような音であった。白粉の上を伝わって来た。その白粉は白々と、森帯刀家の下屋敷まで、一直線につづいた。
笛の音は間近に逼って来た。もう数間の先まで来た。
北山は再び「アッ」と云った。
それからあたかも狂人のように、白粉を足で蹴散らした。
そうして笛の音を聞き澄ました。
笛の音は足もとまで逼って来た。しかしそこから引っ返して行った。
だんだん音が遠ざかり、やがて全く消えてしまった。
北山は全身ビッショリと冷たい汗を掻いていた。と、地面へ手を延ばし、一摘みの白粉を摘み上げた。