Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
武士は「わっ」と悲鳴を上げた。そうして畳へころがった。プーッと吹き出す血の泡沫が、松明の光で虹のように見えた。と、もうその時には葉之助は、ピタリ中段に付けていた。
「えい」とも「やっ」とも、声を掛けない。水のように静かであった。返り血一滴浴びていない。
一瞬間ブルッと武者顫いをした。全身に勇気の籠もった証拠だ。
ワーッと叫んで信者どもはバラバラと後へ退いた。しかしすぐに盛り返した。迷信者は何物をも恐れない。
左右から二人かかって来た。
「やっ! やっ! やっ!」
「やっ! やっ! やっ!」
心掛けある武士であった。二人は気合を掛け合った。左右へ心を散らせようとした。が、それはムダであった。葉之助は動かなかった。凝然と正面を見詰めていた。
敵をただ打つと思うな身を守れ
おのずから洩る賤家の月
仮字書之口伝第三章「残心」を咏った極意の和歌、――意味は読んで字の如く、じっと一身を守り詰め、敵に自ずと破れの出た時、討って取れという意味であった。
葉之助の心組みがそれであった。
金剛不動! 身じろぎもしない。
「やっ! やっ! やっ!」
「やっ! やっ! やっ!」