Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

しかもそれが一瞬の休みもなく自由自在に変化するのであった。

岩太郎は四辺を見廻したが、

「おや誰も家にはいないじゃないか」

「やあ姉さんはどこへ行ったんだろう」牛丸は部屋部屋を探し歩いたが、

「いないいないどこにもいない。ああそれじゃ逃げたんだな。岩さんと逢うのが恥ずかしくて。ようし俺ら探して来よう」

飛び出そうとするのを抑えたのは白衣の妙な人であった。

「探さずともそのうち帰って来よう。巣のある鳥は巣へ帰るものじゃ。……で、お前さんが牛丸さんかね?」

親しそうに妙な人は尋ねたが、その声はちょうど岩を走る清水のように清らかであった。

悪戯者の牛丸もにわかに態度を改めたが、

「悪戯者の牛丸とは私のことでございます」

と、さも丁寧に云ったものである。

「ハッハッハッ。悪戯者とは面白いね。自分から云うのは正直でよい。――ところでたった今ここから出て坂の方へ逃げた者がある。あれはどういう人間だね?」

「若い男じゃございませんか? もしそうなら多四郎の奴です」

一〇

「なに多四郎?」

と、それを聞くと岩太郎は颯と顔色を変えたが、妙な人のために制せられた。

「私もそうだと思いました」