Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
「千両かな? 二千両かな?」
「千や二千の端た金で何んの大騒ぎするものか」
「うわあ、大きく出やがったぞ」
「俺の睨みがはずれなけりゃ小判で数えて一万両か」
「何、一万? 正気の沙汰かな?」
「なんと吃驚り仰天かな?」
「そうしてそりゃあどこにあるのだ?」
「鼓ヶ洞の絶壁の上に」
「ふうん、それじゃ窩人部落か?」
「天狗の宮の内陣にな。……そこに大きな木像がある。身の長二丈で鎗を持っている。……宗介天狗の木像よ。……つまり彼奴らの守り本尊だ」
「それがいったいどうしたんだい?」
「木像は甲冑を着ているのよ」
「それは大きに勇ましいことで」
「その甲冑が一万両だ!」
「どうも俺にゃ解らねえ」
「甲も冑も黄金細工よ、小判に鋳直せばまず一万だ」
「……が、どうして盗む気だな? まさか部落も通れめえ」
すると多四郎はひょいと立ったが、そこに置いてある松明を取ると焚火へくべて火を移した。
「おお権九、ちょっと来ねえ、胆の潰れるものを見せてやろう」
先に立って小屋を出た。
で、権九郎も続いて出る。
戸外の雪は松明に照らされボッとそこだけ桃色に明るみ凄愴として美しい。
多四郎は雪を踏み砕き絶壁の方へ歩いて行ったが、急に立ち止まって振り返った。