Classici giapponesi con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate
「妾はこれからはただ一人で考えることに致しましょう。お休みなさりませお姉様。夜はまだ早いのではございますが、妾は悲しくなりましたゆえ、いつものように夜の床の上でご本を読むことに致します。お休みなさりませお姉様」
彼女の立ち去ったその後は遠くから聞こえる祈祷の声ばかりが寂しい部屋をいよいよ寂しくいよいよ味気なく領している。
ふと柵は顔を上げたがその眼には涙が溢れている。
「可哀そうな久田姫や、お前は何一つこの妾に詫びることはないのだよ。妾こそお前に詫びねばならぬ。可哀そうなお前の身の上は妾の淫らな穢れた血で醜く彩られているのだからねえ」
彼女はよろよろと立ち上がり画像の前まで行ったかと思うと二幅の画像を交互に眺め、
「ほんとに姫が云ったように何んとマアこの二人の人は悲しそうな顔をしているのであろう。云えば恥となり云わねば怨みとなる。そう云ったような深い秘密をじっと噛みしめているようだ。けれど妾にはその秘密がどのようなものだか解っている。それが解っているために妾の声はお祈祷に顫え妾の眼は涙に濡れ……そうして妾の生涯は……」
その時一人の老人が影のように部屋の中へはいって来た。