Classici giapponesi con furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Leggi 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.985 caratteri · 103 schermate
階下では女中の声も更けた。もう大分前に表の木戸を降したらしい。時々低く電話を鳴してお宮を催促しているようであった。
やがてすうっと襖が開いて、衣擦れの音がして、枕頭の火鉢の傍に黙って坐った。私は独で擽られるような気持になって凝乎と堪えて蒲団を被ったまゝでいた。
女は矢張し黙って軽い太息を洩らしている。
私は遂々負けて襟から顔を出した。
女は雲のような束髪をしている。何時か西洋の演劇雑誌で見たことのある、西洋の女俳優のような頭髪をしている、と思って私は仰けに寝ながら顔だけ少し横にして、凝乎と微笑い/\女の姿態に見惚れていた。
壁鼠とでもいうのか、くすんだ地に薄く茶糸で七宝繋ぎを織り出した例のお召の羽織に矢張り之れもお召の沈んだ小豆色の派手な矢絣の薄綿を着ていた。
深夜の、朧に霞んだ電灯の微光の下に、私は、それを、何も彼も美しいと見た。
女は、矢張り黙っている。
「おい! どうしたの?」私は矢張り負けて静かに斯う口を切った。
「どうも遅くなって済みませんでした。」優しく口を利いて、軽く嬌態をした。
そう言ったまゝ、後は復た黙あって此度は一層強い太息を洩らしながら、それまでは火鉢の縁に翳していた両手を懐中に入れて、傍の一閑張りの机にぐッたりと身を凭せかけた。