Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こくこく

刻々

宮本 百合子

Leggi 刻々 (こくこく) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.401 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

自分は、廊下の外から枕元の金網に鼻をおしつけるようにして見守った。間もなく、今野は唸るのをやめ、力いっぱい血走った眼で上眼をつかいハッ、ハッと息を切りながら、

「中條さん……切ないよゥ」

自分はたまらなくなった。錠をはずしてある鉄扉を押しあけ、房の内に入った。高熱で留置場の穢れた布団が何とも云えぬ臭気を放っている。自分は、垢と病気で蒼黒く焼けるような今野の手を確り握り、やつれ果てた頬を撫でた。

「何だか……ボーとなって来たよ」

「頭、ひどく痛い?」

「頸の……ここが(手をそろりと後へやって)痛い……体じゅう何だか……」

自分は、全く畜生※(感嘆符二つ、1-8-75) と思い自分の体までむしられる思いがした。

「――今野!」

夢中になりそうになる、忠実で、強固で、謙遜な同志の膏のにじみ出た顔へぴったり自分の顔をさしよせ、私は全身の力をこめて低く呼んだ。

「今野」

その声で薄すり目をあけ、こっちを見た。

「まだ死んじゃいけないよ。いいか? 口惜しいからね、死んじゃいけない! いいか?」

「ああ」

「しっかりして……」

「あァ……」かわいた唇をなめて微かに「わかってるヨ」