Classici giapponesi con furigana
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こくこく
刻々
宮本 百合子
Leggi 刻々 (こくこく) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.401 caratteri · 73 schermate
お忠義ぶる女は却っていじめられますよ」
小声で話していると、いきなり、
「なに講義してる」
いつの間にか跫音を忍ばせて、岨にテロルを加えた赤ら顔の水兵上りの看守が金網に胸をおっつけてこっちを覗いている。
「…………」
「駄目だゾ」
「…………」
この看守だけは、どんな時でも私に歌をうたわせなかった。迚も聴えまいと思う鼻うたでも、きっと意地わるくききつけ、「オイ」と低い声で唸って顎をしゃくうのであった。
あっちへ行ったかと思うと、第二房で、
「……ねえ、そうじらすもんじゃないですよ。……たちが悪いや!」
と、如何にも焦々する気持を制した調子で云っている声がする。この看守は煙草が吸いたくてたまらないでいる留置人の鼻先で、指もくぐらない細かい金網のこっち側へわざとバットを転しておいたり、今にも喫わしてくれそうに、ケースの上でトントンとやって見せたりして、猿をからかうように留置人をからかうのであった。そのために、吸いもせずにくたくた古くなったバットを二本、いつもニッケル・ケースに入れてもっているのであった。
「チッ! いけすかない!」
空巣の加担をし※品を質屋へ持って行って入れられている五十婆さんが舌うちした。