Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜんしょう

前哨

黒島 伝治

Leggi 前哨 (ぜんしょう) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8857 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

が、まご/\しているうちに、ボロ切れに包んだものが風を切って、浜田の前に落ちた。中には、支那酒の瓶が入っていた。

深山軍曹は、それを喜ばなかった。浜田がビンの栓を取ると、

「毒が入って居るぞ!」と、含むところありげな眼をした。

「そんなこたない。俺れが毒みをみてやろう。」傍から大西が手を出した。

「いや、俺れがやる。」

浜田は、さきに、ガブッと一と口飲んでみた。そして、大西に瓶を渡した。大西は味をみると、

「ナーニ、毒なんか入って居るもんか、立派な酒だ!」

と舌つゞみを打った。

酒は、ビンから喇叭のみにして、八人の口から口にまわった。兵士たちの、うまそうな、嬉しげな様子を見ると、とうとう深山軍曹も手を出した。そして、しまいには酔った。眼のふちが紅くなった。

次の晩には、もう、不安は、彼等を襲わなかった。附近で拾い集めてきた枯木と高粱稈を燃して焚き火をした。こんなとき、いつも雑談の中心となるのは、鋳物工で、鉄瓶造りをやっていた、鼻のひくい、剛胆な大西だった。大西は、郷里のおふくろと、姉が、家主に追立てを喰っている話をくりかえした。

「俺れが満洲へ来とったって、俺れの一家を助けるどころか家賃を払わなきゃ、住むこたならねえと云ってるんだ。